2016/05/20

植物図鑑1

























2015年8月の終わり、庭作りの為に雫石へやってきた。
雫石は曇りが続き、やや肌寒いくらいだった。
朝6時に起きて、鶯宿温泉街を散歩するが、誰一人としてすれ違わない。
空気はひんやりと湿気を含んでいる。
いつかの夢で見たようなものばかり目に入る。
朽ち果てた倉庫や、傾いたスナックの看板。
雑草の生い茂る荒れ果てた空き地。ころがるブロック塀。熊出没注意。
寂しい。
スピーカーからひび割れた音で朝6時半の合図を告げるチャイムが鳴る。
作業への集合までは、まだ1時間程あったので、宿に戻り
真っ白なシーツに顔をうずめる。
洗濯のりの匂いと花の色だけは、故郷から遠く離れていたって
重力をたっぷりとかけれるような安心感をいつも与えてくれると
思いながら、また少し浅い眠りに入った。